~ メコン川が流れ美しい街並みが残る国ラオス ~
最近テレビや雑誌などで取り上げられ、ASEAN最後のフロンティアとして注目されているラオス。
日本の本州ほどの面積に約700万人の人が暮らす、そんな小さな国に急速な経済発展の波が押し寄せています。首都ヴィエンチャンなどの主要都市では発展が進んでいますが、都市部から少し離れると、のどかな田園風景が広がっています。しかし、経済発展の波は次第に農村部にも影響を及すようになりました。
経済発展に伴いインフラ整備や新しいビル、ホテル、ゲストハウス、飲食店などの建設により、水の需要量は増加し続けています。現在ラオスではダム建設が進められていますが、一方で、水を生み出す源泉自体が失われつつあります。
ラオス全体の森林面積は国土の約40%に減少し、水源涵養機能等の森林機能が減退しています。国民の80%が農業に従事しているため、人々は山や森林からの恵みに頼って生活しており、また水は人が生きる上でなくてはならないものです。森林保護と回復は、人々の生活と自然環境を守る上で重要であるにもかかわらず、植林等の環境保全活動はあまり行われていません。
暮らしと自然が守られたまちづくり
この植林事業は、地域住民によって植林による環境保全が行われ、人々の暮らしと自然環境の双方が守られた持続可能なまちづくり目的としています。地域ネットワークを活かしながら事業を進めることで、地域の人々が主体となった持続性のある環境保全活動の基盤確立を目指しています。
持続性のある環境保全活動
現地主体で事業が継続されていくためには、人材育成と運営システム、運営資金の3つが重要となります。
人材の面では、地域の中心的存在である学校でワークショップを開催して、環境保全に対する意識向上を促すと共に、環境教育の基盤づくりに取り組んでいます。また、現地カウンターパートのラオス給水公社と協力して、各活動地域の運営体制の構築と農業局や教育局からのサポート体制を進めています。
運営資金の調達においては、水土保全に役立つ樹木だけでなく、アブラギリや果樹といった現金収入につながる樹木の植林を行っています。さらに、農業局と協力して果樹の増殖活動も行っています。住民が取り木や接ぎ木といった技術を習得することで、大きな費用をかけることなく住民自ら植林を継続していくことが可能となります。
約300円で果樹を一本植えることができます
約300円のご寄付で果樹を一本植えることができます。
果樹は成熟して実をつけるようになれば、
届けた本がきちんと管理され、長く使われるように本棚のない学校には本棚もおくります。
人々の暮らしを守りながら
ラオスは後発開発途上国の一つで、山岳部の人々の暮らしはとても厳しい状況です。農業主体の住民の生活基盤である自然環境の改善を行いながら、人々の暮らしを良くしていくことで、自然と共に歩む地域社会の発展に寄与していきます。
植林活動に参加し現在苗木の育成管理をしている村人の一人Kaelaさんは「たくさんの家族を養わなければいけないのに、私の他に働き手がいないため現金収入はとても乏しく生活はとても苦しい状況にあります。この植林はもちろん自然を良くするものですが、それ以上に私達の暮らしにとって大切なものになりました。本当にありがとうございます。」と語ってくれました。
Mai Soryaさんは植えた苗木を山の源泉から引いてきた水(無料)で大切に育ててくれています。「私たちはお金がないため、新しい苗木を買ったり植林をしたりする余裕はありませんでした。政府からの支援もありません。山の自然と自分たちの暮らしを守っていくのに、この植林はとても必要でした。」と話して下さった。
今後も地域の人々と協力しながら自然と人々の暮らしが守られたまちづくりを推進していきます。
活動③
種からの苗木育成活動
環境意識の向上だけでなく環境保全活動の実践として、学校においてアブラギリの種から苗木を育成する活動を行っています。育った苗木は生徒の親や先生が所有する土地へ植林します。成熟した実から得た利益を学校の活動費に役立てると共に、一部を新たな種子の購入費に充てることで、学校を中心とした苗木育成と植林の循環を促していきます。
月毎に担当クラスを決めて、雑草取りや水やり等の適切な管理が行われています。さらに、育成技術を身に付けた学校が周辺の学校に苗木育成活動の指導を行うようになり、活動はどんどん広がっています。
苗木育成に必要な給水設備がない学校には給水設備の建設も行っています。